NATURAL GAS
当社が採掘している水溶性天然ガスは、地層中(深度200~ 2,000m)の地下水に溶存しており、メタン(CH4)が主成分となっています。
水溶性天然ガスの成分の特徴は、ガスの組成が変化しないために熱量(カロリー)が安定していることです。また、硫黄などの不純物を全く含んでいないことから、クリーンエネルギーとしても高く評価されています。
天然ガス組成 | メタン (CH4) | 96.2 vol% |
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炭酸ガス (CO2) | 3.5 vol% | |
窒素 (N2) | 0.3 vol% | |
総発熱量 | 38.4 MJ/N㎥(9,180 kcal/N㎥) | |
比重 | 0.589 (空気=1) |
新潟県で供給されている天然ガスの67%は県内で生産されています。
また、その用途はガスパイプラインによる県外移出が最も多く、以下都市ガス、一般工業燃料、発電、化学工業原料の順となっています。
当社で産出される天然ガスは、古くは化学工業原料として、現在では都市ガス及び自家発電機燃料として供給されています。
海岸線沿いに北から南に走る「A-A'の地質断面図」より、加治川から内野にかけて下がり傾斜になっていることが分かります。
また、「B-B'の地質断面図」より、内陸から海岸にかけて下がり傾斜の地質構造になっていることが分かります。
弊社西蒲原操業地域では、このような向斜構造の砂礫層に水溶性天然ガス鉱床が胚胎しています。
図1 A-A' の地質断面図
※引用・参考文献について
上図1~3は、『百武松児・和田温之・須田光治(1969)新潟市及びその周辺の地盤沈下.地質見学案内書38頁,日本地質学会第76年学術大会(新潟)準備委員会、図2-3越後平野地下のガス層の断面図』をもとに、当社が加工作成したものであり、これらの著作財産権は一般社団法人日本地質学会に帰属します。
新潟水溶性天然ガス田は、村上市から新潟市の海岸沿いを経て、信濃川沿いに長岡市に至るまでの距離約110kmの間に分布しています。
現在、新潟市内で鉱業用水溶性天然ガスを生産している地域は、西蒲原地区と松浜地区の2箇所となっています。
水溶性天然ガス鉱床の分布図(新潟市提供)
G5層と呼ばれるガス層の上限は、西蒲原地区において深度約660~740mの範囲にあり、内陸側で浅く、海岸側、特に新潟市西方に向かって深くなる向斜構造を示しています。
G5層上限深度等深度線図(新潟市提供)
坑井内にリフトパイプを挿入し、天然ガスを 吹き込むことによって揚水する方式です。
地下水は、ガス気泡と入り混じり、見掛け比重が低下することによって、上昇流を生じ、採取層から坑井への連続的な地下水の流入が導かれます。
同時に、地下水中に溶存している天然ガスが、揚水に伴う圧力の解放により捕集槽内で地下水から分離されます。
第21基地
坑井内に水中モーターポンプを設置して、地下水を揚水する方法です。
ガスリフト方式と比較して、揚水効率が高く、騒音・振動が少ない利点を有します。
反面、ケーシング管径の大型化により設備費が増大します。
第D2基地
ガスを分離した後の地下水は地盤沈下防止のために、全量を地下に還元圧入する方法が採られています。
当社は1日あたり約10万m3の地下水を地下のガス層に還元圧入しています。
同一層における揚水量と圧入量が同量となるよう収支バランスを取ることによって、地下の圧力を保持し地盤の変動を抑制しています。
圧入第4基地
層別バランス
採取基地坑井より採取された天然ガスは集ガスパイプラインを通して集められ、ガス輸送用コンプレッサーにより送ガスパイプラインを通して需要先及び自家発電機に送られます。
天然ガスを分離した後の地下水は集水パイプラインを通してヨウ素工場へ送られ、ヨウ素を回収後、圧入ポンプにより送水パイプラインを通して地下に還元しています。
採取及び圧入基地数は31箇所、坑井数は134箇所にもなります。また、各パイプライン総延長は63.5kmに及びます。
天然ガス及びヨウ素の安定供給に向け、これら設備の維持管理に努めています。
水溶性天然ガスの採取から供給まで
ガス輸送用コンプレッサー
かん水圧入用送水ポンプ
自家発電機